「でも、津田秋彦は男前だったんでしょう?」

「男前というより、優男だな」

 綺麗な顔をしていた、と言う八咫に、

「高坂さんとどっちがですか?」
と真生が問うと、八咫は、うーん、と二人の間に居る高坂を見、

「高坂だろう」
と言う。

「めちゃめちゃ八咫さんの中の高坂さんの評価、高くないですか?」

「別に高くはないし、私の好みでもない。
 一般的な評価としてだ」

 いや、八咫さんの好みでも困るんですけどね、と思いながら、

「仲いいんですね」
と真生は言ったが、八咫は、

「誰がいいものか。
 こいつと話してると虫酸が走る」

 生理的に嫌いなんだ、と吐き捨てるように言っていた。

 だが、高坂はそれを笑って聞いてくる。

 その顔を見ながら、
「それでもずっと一緒に居るんだから、仲いいんですよ」
と真生も笑った。