看護師たちも集まった院長室の側の部屋でそれは行われた。
これ以上の騒動は困るという軍の上層部からのお達しだということで、八咫立ち会いのもと、院長の包帯を外すことになった。
ゆっくりと昭子夫人が包帯を落としていく。
看護婦たちも、息をつめて見つめていた。
だが、その下に現れたのは、多少傷痕はあるものの、まぎれもない院長の顔だった。
怪我のせいか、落ちくぼんではいるものの、くっきりとした造りの目許。
バランスのいい鼻と口。
高坂と兄弟だというが、あまり似ていないダンディな感じの男前だった。
院長の顔を確認して、みなは緊張が解かれたように、ほっと息をつき、昭子は満足そうに微笑んだ。
だが、院長が目を伏せ、
「おぞましいものを見せてしまいました」
と呟いたのを真生は聞いていた。