そこで高坂は笑い、
「火で焼けば消えるかもな。いつかのボヤみたいに」
と言う。

 高坂もやはり、昭子が蘇りの術を使ったのではないかと疑っているようだった。

 恐らく、院長が怪我をしたり、秋彦が消えたりしたあとに、あのボヤが起こったのだろう。

「……院長が怪我したのと、津田秋彦が消えたのと、どちらが先でした?」

「確か、秋彦の方だったな」
と言う高坂の言葉に、もしかしたら、秋彦が消えたことで、二人は言い争ったのかもしれないな、と真生は思った。

 それにしても、昭子はどうやって、その難解な文章で書かれた蘇りの術を使ったのだろう。

 まあ、この部屋には簡単に入れそうだが。

 本を手に入れたとしても、解読する時間が必要だよな、と思う。

 見た目の印象で判断しては失礼だが。

 昭子は流行りのものやファッションなどに興味はあっても、学問の方には興味のない人間に見えたのだが。