「……越智哲治さんは、あなたの蘇りを見られたんですか?」

 真生はそう高坂に訊いてみた。

「いや、その頃にはもう、哲治さんは亡くなっていた」
と高坂が言ったとき、

「高坂」
と声がして、ノックを終えるか終えないかのうちに、ドアが開く。

 八咫の姿を認めた高坂は、

「来たか。
 早く持って帰れ、真生がうるさい」
とすぐさま文句を言っていた。

 いや、私がうるさくなければ、放っておいていいのですか。

 匂いが出ますよ、と思いながら、真生はその言葉を聞く。

「じゃあ、この絨毯に丸めて持って帰っていいか」

 八咫は足許の古いが高そうな絨毯を見て言う。

「新聞紙じゃないんだぞ」
と高坂は眉をひそめたが、駄目だとは言わなかった。