練習を終え、斗真は先に帰っていった。
まだ明るいから一人で帰れるだろ。
そう言って。
少し素っ気ない気もしたが、元からそういう男なので、あまり気にしないことにした。
戸締まりのため、礼拝堂の中を確認し、いつもは開けない奥の部屋も開けてみた。
控え室のような場所かと思っていたのだが、どうやら図書室のようだった。
誰も入らないのか、埃がたまっている。
なんだかあの頃のまま時が止まっているような場所だ。
そういえば、高坂さんのお父さんのものは、ここと高坂さんの部屋にあるって言ってたっけ?
おや?
あんなところに扉がある、と真生は本棚と本棚の間にある扉を鍵を開け、開けてみた。
すると、空気が揺らぐ感じがした。
えっ? とまだ外に出ていなかったので、振り返る。