このまま楽譜通りに弾くべきかどうか――。

「微妙に下手だな」
と真生の演奏を聴き、斗真は呟く。

「微妙にもなにも下手よ」
と言うと、

「前、ここで俺が聴いたときはもっと上手かった」

 そう斗真は言ってくる。

「……私、前も斗真の前で弾いたことあった?」

 斗真は少し考えるようにして、ステンドグラスの方を見た。

「あるんだよ」

 そういう言い方を斗真はした。