「……真生」
と小さく真生の名を呼ぶ。

 普段の小莫迦にしているような呼び方とは、全然違っていた。

 その声色に、なにかに追い詰められたような切なさを感じたとき、高坂がそっと真生の頰に口づけてきた。

 少し真生の手に触れたあとで、高坂は出て行ってしまう。

 真生はそっと目を開けた。

 暗がりで、今、高坂が触れたおのれの手を見ながら思っていた。

 ……なんなんですか。

 眠れないじゃないですか。

 そう思いながらも、なんとか寝ようと、真生は目を閉じた。

 すると、あの曲が頭に流れてくる。