そのとき、ふと、自分の前を歩いている女が居るのに気がついた。

 白い服の女だ。

 いつから居たのだろう。

 アンティークな感じのスーツを着た女。

 昔の絵画で見た、オペラの観劇に行く女性、みたいな感じだ。

 小洒落たハットを斜めにかぶっているせいで、その女が下に着いて、角を曲がっても、その顔は見えなかった。

 これがウワサの白い服の女の霊か。

 初めて見たな、と思う。

 今まで一度も見たことがなかったので、波長が合わないのだろうと思っていたのだが。

 霊というより、残像かな? と真生は思う。

 その女は階段を下り、廊下を歩いて行くと壁の前で立ち止まる。

 そこで、ドアを開けるような仕草をして消えてしまうのだが。

 何度もそれを繰り返しているようなのだ。