合戦のようにふたつのグループに分かれて森の守り駒達が戦っている。
あれは他の森から来た敵なのだろうか。
必死で森に侵入するのを防いでいるように見えた。
その中に銀の狼がいた。 キースだ。
キースが後ろから大きな鋭い爪を持つ熊に引っかかれ、それに反応して駆け寄っているのか映像がズームアップされていく。
そして熊に飛び掛っていた。
「そっか、トイラが見た光景なんだ」
その戦いはトイラたちの勝利だった。
キースが助けてもらった礼を言っているのに、トイラは無視してプイと横向いて去っていった。
「トイラらしい」
他の映像も見える。
森の木々を低い視線で見ているのは、トイラが黒豹の姿で彷徨っているのだろう。
そして木の前で止まってこの木を見上げている。
『我が体はかなり老いた。だが、お前はそんな私をいたわってくれる』
「えっ、木が喋った」
どれほど驚いただろう。
だがどこかそれを知ったことが嬉しい驚きだった。
さらに会話は続いている。
『トイラよ、お前はいつか大切なものをみつけるときが来るだろう。必ずお前に必要なものになる。それが悲しい結果となってもじゃ』
「えっ、それって私のこと? もしかしてこの木があのとき私を呼んだの?」
そのときだった。
トイラの記憶から、キースが歌っていたあの『森の緑の歌』が聞こえた。
でもキースが歌っているものじゃなく本当の森が歌う『森の緑の歌』。
「これが、キースが言ってたあの音なのね。なんて耳に心地いいの。これが森の緑の歌」
その音は風の音とハープの音色が混じったような、そして軽やかな鐘の音にも聞こえる、心がどんどん軽くなって、清らかな水が湧き出てくるイメージだった。
「あの森の匂いが強く香ってくる」
胸いっぱいにその匂いを吸い込んだ。
ユキの心に、澄んだ真っ青な青空と、エメラルドのような草木の緑と、すがすがしい風が現れる。
「わかった、トイラがこの木を好きだった理由。ここに座るといつもこの音が聞こえたんだ。この木がトイラのために歌ってたんだ」
ユキは目を開けた。
あれは他の森から来た敵なのだろうか。
必死で森に侵入するのを防いでいるように見えた。
その中に銀の狼がいた。 キースだ。
キースが後ろから大きな鋭い爪を持つ熊に引っかかれ、それに反応して駆け寄っているのか映像がズームアップされていく。
そして熊に飛び掛っていた。
「そっか、トイラが見た光景なんだ」
その戦いはトイラたちの勝利だった。
キースが助けてもらった礼を言っているのに、トイラは無視してプイと横向いて去っていった。
「トイラらしい」
他の映像も見える。
森の木々を低い視線で見ているのは、トイラが黒豹の姿で彷徨っているのだろう。
そして木の前で止まってこの木を見上げている。
『我が体はかなり老いた。だが、お前はそんな私をいたわってくれる』
「えっ、木が喋った」
どれほど驚いただろう。
だがどこかそれを知ったことが嬉しい驚きだった。
さらに会話は続いている。
『トイラよ、お前はいつか大切なものをみつけるときが来るだろう。必ずお前に必要なものになる。それが悲しい結果となってもじゃ』
「えっ、それって私のこと? もしかしてこの木があのとき私を呼んだの?」
そのときだった。
トイラの記憶から、キースが歌っていたあの『森の緑の歌』が聞こえた。
でもキースが歌っているものじゃなく本当の森が歌う『森の緑の歌』。
「これが、キースが言ってたあの音なのね。なんて耳に心地いいの。これが森の緑の歌」
その音は風の音とハープの音色が混じったような、そして軽やかな鐘の音にも聞こえる、心がどんどん軽くなって、清らかな水が湧き出てくるイメージだった。
「あの森の匂いが強く香ってくる」
胸いっぱいにその匂いを吸い込んだ。
ユキの心に、澄んだ真っ青な青空と、エメラルドのような草木の緑と、すがすがしい風が現れる。
「わかった、トイラがこの木を好きだった理由。ここに座るといつもこの音が聞こえたんだ。この木がトイラのために歌ってたんだ」
ユキは目を開けた。