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「……——さん……凛々子さん!」
耳元で声がして、はっと目を開けた。松下先生が私の顔を覗き込んでいる。
教室の中に視線を走らせると、真夏の日差しが空席を照らしているだけで、そこには誰もいなかった。
腕に抱えていた新聞とアルバムがどさっと音を立てて床に落ちる。
「みんなは?」
「はい?」
「3年1組のみんなですよ! 生きてるんですよね? そうですよね?」
私は先生の両腕を掴み、前後に揺すった。先生はわけがわからないといったように目をまたたかせた。
「凛々子さん、落ち着いて」
「お願いですから、答えてください! みんなは生きてるんですよね? 修学旅行には行かなかったんですよね?」
「ねぇ、本当にどうしちゃったの? 変よ。亡くなったみんなのことを『生きてるんですよね?』だなんて……」
「亡くなった……みんな……」
足元が崩れ落ちたような絶望感に襲われた。全身から力が抜け、すとん、と床に尻をつく。