「よっ! 俺、唯人。気軽に唯人って呼んで」
「はじめまして。委員長の斉藤智子です。わからないことがあったら、何でも聞いてください。どうぞよろしく」
「沙恵と和也でーす」
「俺たち、ふたりでひとつなんでよろしく!」
「僕は……」
「私は……」
みんな我先にと押し合うようにして自己紹介し始めた。
今まで何度も転校してきたけど、こんな風な歓迎は受けたことがなかった。
たいていどこの学校へ行っても、初日の挨拶は私が一方的に名前を言って、それで終わり。
優しい女の子たちが数人、休み時間に気を使って私のところへ来てくれるけど、他の人たちは基本的に無視。きっかけがなければ会話を交わすこともない。
それが一限目を丸々使って、私の歓迎会をしてくれるなんて。
深い感動を覚えた。
私はみんなの顔をひとりひとり見回した。今まで向けられたことのない温かい眼差しに包まれる。
もしかすると、この人たちの中に自分の居場所があるかもしれない。
そんな気持ちになったのは、初めてのことだった。