新聞記事をコピーして持ち帰りたいと頼むと、先生は気の毒そうな顔をしつつも、どうぞと言った。
これらさえあれば、未来から来たという証明になる。だけどそれを過去に持ち込めるかどうかは定かではなかった。
昨日はポケットに入れていたはずのスマホも、肩にかけていたはずのバッグも、過去に戻ったらなくなっていた。
持ち込めない可能性の方が断然高いけど、できることはすべて試したい。
私は新聞のコピーとアルバムを鞄に入れ、手早く身支度を整えて学校に向かった。
学校に着き、玄関のベルを鳴らすと、すぐに松下先生が出てきた。
「こんにちは、凛々子さん」
「こんにちは」
「今日も暑いわね」
「そうですね」
短い沈黙を挟んで、先生は「あの」と改まった調子で言った。