教室に戻ろう。
タイムリープが起こる条件を見つけることができれば、また過去の3年1組に行けるかもしれない。そのかすかな希望が、私を奮い立たせる。
「私、旧校舎に戻りますね」
「えっ、戻るの?」
「はい」
「ひとりで大丈夫? 先生もついていった方が……」
「いえ、ひとりで大丈夫です」
私はきっぱり言って、立ち上がった。
「本当に大丈夫?」
「はい。さっきは取り乱してしてまってすみませんでした。いってきます」
先生に背を向け、歩き出した。旧校舎に向かう足が、自然と駆け足になる。
開け放したままになっている裏口のドアから中に入り、まっすぐ3年1組に向かった。
歩調を緩めず、駆け込むようにして教室に入る。
「…………」
景色に変化はなかった。
チャイムの音は聞こえてこないし、時計も1時を指したまま止まっている。