黒板の上の壁掛け時計に視線を動かすと、針は相変わらず1時を指したまま止まっていた。
私はズボンのポケットからスマホを取り出し、正確な時刻を確認した。
14時43分。もう二時間以上泣き続けているというのに、涙が目からぽたぽた滴り落ちてきて、スマホの画面を濡らす。
私は手足を拾い集めるようにして立ち上がり、よろよろと教室の外に出た。出てから、もう一度教室の中に足を踏み込んだ。
やはり何も起こらなかった。
それでもどうしても諦めきれなかった。
これで最後になんてできない。したくない。
何でもいいから、みんなに会いたい。
もしもあれが“タイムリープ”だったとするならば……
ひょっとして私の言動次第で、過去を変えられたのではないか。
みんなが修学旅行に行くのを阻止できたのではないか。
あの事故をなかったことにできたのではないか。
みんなが生きている未来を作ることができたのではないか。
そんな根拠のない期待ばかりが自分の中に膨らんでくる。