タイムリープした先に、おそらくみんなはいない。
それでも構わない、と思った。
私はただあの教室に……
ふたたびみんなに会わせてくれたあの3年1組の教室に、
最後に『ありがとう』と『さようなら』が言いたい。それができれば、もう十分だった。
窓の外に広がっているのは、いつもと変わらない見慣れた田園風景なのに、このときの私の目には、何もかもが初めてみる景色のように新鮮で、穏やかで、木漏れ日の中できらきらと輝いているように見えた。
「ふたりとも、ちょっとここで待っててくれる?」
先生は玄関の鍵を開けると、早足で職員室の方へと歩いていった。
私たち三人以外、まだ誰も来ていないのか、校内の電気は消えていて、朝なのに薄暗い。
先生の足音が聞こえなくなると、沈黙が訪れた。