「ふわふわしてて、美味しいですね」
「うん、本当に美味しい。一度食べ出したら止まらないや」
「信広さん、甘いものがお好きなんですもんね。先生から聞きました」
「そうなんですよ。食べ物は基本的に何でも好きなんですけど、甘いものは特に好きです。実は昨日凛々子さんがくれたクッキー、美味しすぎて俺がほとんどひとりで食べちゃったんですよ。母さんへのプレゼントだったのに、すみません」
「あははっ、謝らないでください。そんなに美味しいって言っていただけて嬉しいです。もしよければ、また私がお菓子を作ったとき、もらってください」
「ありがとうございます。楽しみにしてます」
信広さんの瞳が、子供のように輝いた。
切れ長の目をしたクールな外見とは裏腹に、少年のような人だ。その曇りのない素直さは、少し唯人に似ている。