信広さんはあっというまに八個入りのたこやきを完食し、フランクフルトと焼きとうもろこしをそれぞれ一本ずつ平らげ、それでもまだ足りないかのように、ベビーカステラの袋に手を突っ込んで食べ始めた。


見かけによらず、豪快な食べっぷりだ。


「信広さん、細いのによく食べますね」

「いくら食べても太らない体質なんですよ。むしろ普通の量しか食べてないと、どんどん痩せていってしまうんです」

「えっ、そうなんですか?」

「大学生のとき、食事があまり喉を通らない時期があったんです。そのときたった二週間やそこらで、ガイコツみたいに痩せ細ってしまって、周りの人に心配されたことがあります」

「そうだったんですね……」

「まぁ、今はこの通り食欲も体重も戻りましたし、もう何の問題もありません」


吹き渡っていた風が、ぱたりと止んだ。祭りの喧騒の中で、私たちの周りだけ、一瞬、世界から切り離されたような静寂に包まれた。