バスに乗っている間は小降りだったのに、降りた瞬間、バケツをひっくり返したような大雨に変わった。
雨宿りをする場所もなく、私は仕方なく家に向かって歩き出した。あまりにも雨が強すぎて、ビニール傘に穴が空くんじゃないかと思ったほどだった。
家の玄関を開け、真っ先に脱衣所に向かった。雨で濡れた服を洗濯機の中に放り込み、下着姿で二階の自分の部屋に上がった。
服を着ようとしたとき、自分の身体がちらっと鏡に映って手が止まった。
改めて自分の姿を客観的に見てみると、認識しているよりもずっと華奢で、細いを通り越して病的にさえ見えた。
もっとしっかり食べなきゃ。
でも食欲は全然湧いてくれないし、何を食べても美味しく感じられ……
「あっ」
思わず声が漏れた。
そういえば今日食べたクッキー……
私はぶかぶかのTシャツワンピを頭からかぶり、押し入れを開けた。棚の奥を探ってみると、『凛々子のお菓子レシピ』と書かれたノートが出てきた。