私が歩き出すと、先生も黙って歩き出した。階段を下り、裏口から外に出る。
先生が建てつけの悪いドアの鍵を閉めている間、私は傘越しに旧校舎を見上げていた。
こんなにつらく、悲しい思いをするくらいなら、初めからみんなと出会わない方がよかったのかな。
……いや。
私は心の中で首を振った。
みんなとの出会いを、みんなと一緒に過ごした時間を、すべてなかったことにしてしまうくらいなら……
いっそのこと、喪失感に打ちのめされた方がマシだ。
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