ミント村温泉がオープンして七ヶ月が経った。

運営は至って順調。
最近では、宿泊希望のお客様が次々と訪れ、部屋数が足りなくなって来ていたから、宿の増築の検討をはじめた。

スタッフ達もすっかり仕事に慣れ、私が見張っていなくても、問題なく接客が出来るようになっていた。

また、ランカ村への支援は細々と続けている。

川の汚染はだんだんと回復して来ているし、最低限の食料などは回せている。雨が降る前日に知らせる事が出来るようになった為、雨水の確保が効率的になっていた。

小さな領地の暮らしは確実に上向いている。


そんな中、私にはひとつだけ心配事がある。

いつライが出て行ってしまうのか。

そろそろ、故郷に帰る旅費は溜まったはずだ。

いや、もしかしたらとっくにお金は足りていたのに、ミント村が軌道に乗るのを待っていてくれたのかもしれない。

私がライを頼りにしている事を、本人も気付いているはずだから。

ミント村が豊かになればなる程、ライとの別れの日は近付いて来る。

もうすっかり生活の一部になり、側にいるのが当たり前になっている彼が居なくなったら、私はとても心細くなるだろう。

だけど、行かないでとは言い出せない。ライにはライの生活があるのだから。

もし、彼の方からここに居たいと言ってくれたら、一も二もなく頷いて、大歓迎をするのに。

そんな事を悩んでいるからか、溜息が増えていたようだ。