考えるだけでぞっとする。
そうならない為にも、仕事を頑張らなければ。決意を新たにしていると、ライがすこし不満そうな顔をした。

「前も思ったけど、次の相手が裏切るってどうして決めつけるんだ?」

「どうしてって、だって一度有った事は二度有ると言うし」

気持ち的には、既に二度手酷く裏切られている訳だし、慎重になるのは仕方ないと思う。

「エリカだけを大切にする男だっているばずだろ?」

「絶対いないとは言い切らないけど、そんな人と出会える確率は凄く低そう。私は夢を見るより確実な幸せを得る為に努力するわ」

「……エリカって昔からそんな感じだったのか?」

「何が?」

「冷めてると言うか、諦めていると言うか。婚約者の裏切りで傷付いたとは思うけど、それにしても……揉めずに家を出てしまうなんて、俺からすれば有り得ないけどな」

「そうかな?」

「ああ。まあ、お陰で俺はエリカと出会えたんだし、過去の行動を否定する気はないけど、これからは自分の幸せを考えて行動して欲しい」

「……うん、考えてみる。心配してくれてありがとう」

本当は、ライの言い分に同意は出来ない。

確かに私の行動は、側から見ればあまりにあっさりしているのだろう。
和解しようとするレナードとエミリーを避けているのも、下手したら冷酷に見えるのかもしれない。

だけど、私は思い出してしまったから。
感情のままに動いたって、何も変えられないと言う事を。

ライは私が人より余分な記憶を持っている事を知らないから、私が無理をしているように見えるのだろう。


だけど、本当の事は話せない。

ライに理解してもらうのは、この先も難しそうだ。