「クレッグ子爵家にとっては、レナードが後継になった方が都合がいいわ。アクロイド侯爵家との縁はとても有益だもの。それにエミリーもこのまま家に居られる事になるから、お父様も安心でしょう? 」
「駄目だよエリカ。そんな事になったらお前がこの家には居辛くなってしまう! 今から新たな婚約者を探すとしてもレナード殿より良い相手は難しいんだよ?」
「うん……それは分かってる……」
妹に婚約者も地位も取って変わられたなんて、側から見たら惨めだし、貴族は噂好きだから、しばらくの間、私達は話題の人になってしまう。
そんな環境でのうのうと暮らせる程、私は図太くはない。だから、
「お父様、私はこの家を出て、どこか別の場所で暮らしたいと思っています」
お父様の小さな瞳が驚愕に揺れる。
「ま、まさか、修道院に行くつもりなのか?」
「え? いえ、それは絶対にありません」
トレヴィア王国の貴族女性は、なんらかの事情で結婚出来なかった場合、修道院に行く事が多い。
だけど私はそんなつもりはカケラもない。
元々信仰心は強く無い方だったけれど、前世の記憶を持った事で更に無信仰になったようだ。
シスターになって、静かに神に祈る日々なんて考えられない。
「駄目だよエリカ。そんな事になったらお前がこの家には居辛くなってしまう! 今から新たな婚約者を探すとしてもレナード殿より良い相手は難しいんだよ?」
「うん……それは分かってる……」
妹に婚約者も地位も取って変わられたなんて、側から見たら惨めだし、貴族は噂好きだから、しばらくの間、私達は話題の人になってしまう。
そんな環境でのうのうと暮らせる程、私は図太くはない。だから、
「お父様、私はこの家を出て、どこか別の場所で暮らしたいと思っています」
お父様の小さな瞳が驚愕に揺れる。
「ま、まさか、修道院に行くつもりなのか?」
「え? いえ、それは絶対にありません」
トレヴィア王国の貴族女性は、なんらかの事情で結婚出来なかった場合、修道院に行く事が多い。
だけど私はそんなつもりはカケラもない。
元々信仰心は強く無い方だったけれど、前世の記憶を持った事で更に無信仰になったようだ。
シスターになって、静かに神に祈る日々なんて考えられない。