「エリカが考える事はだいたいが上手く行くな」
ライが感心したように言う。
「ふふ、ありがとう」
なんて調子よく返事をしたけれど、だいたいが前世の記憶を元にやっているんだけどね。
「利用客が宣伝してくれているみたいで、紹介客も来るようになったな。当初の予定通りミント村に農業以外の雇用が生まれてだんだん豊かになって来ている。エリカのおかげだな」
「……なんだか褒めすぎじゃない? どうしたの? 何か有ったの?」
ライの様子がいつもと違うような気がする。
「いや、俺がここに来てもう半年が過ぎた。この村も大分変わったと思って」
「あ……そうだね、もうそんなになるんだね、あっと言う間だったな……」
初めて出会った時のライはボロボロで見るも無残な状態だったっけ。
今はみんなに頼られて、慕われている。ミント村リゾートの中心人物。
だけど…… 元々ライは期間限定でミント村に滞在していたんだ。
普段考えないようにしているけれど、ライは故郷に帰るだけの旅費が溜まったらこの村を出てしまう。
いつか別れの時がやって来るんだ。
そう改めて実感すると、急に不安が込み上げて来た。
いつもと違う様子なのは、そろそろここを出て行こうと思っているからだろうか。
「ライ……あの、もしかしたら……」
この村を出て行くの?
そう言おうとしたけれど、それ以上声がでなかった。
そうだと言われたらと思うと怖くなって、はっきりとした事が聴けない。
「どうしたんだ? 」
ライは不審そうな表情になる。
「あの、ライは将来の事とか考えているの?」
「え?」
今度は怪訝な顔。
「だから、将来どんな生活をしたいとか人生設計のような」
「いきなり話が飛ぶな……将来設計か、そうだな……」
ライは宙を睨み考え込み、それからふっと嬉しそうな顔をして答えた。
「どんな生活を送っているかは、今のところ想像出来ないな。けど、どんな暮らしをしたとしても、隣には可愛い奥さんが居たら最高だ」
「えっ? 奥さん?」
意外な答えに私は目を丸くする。
ライの事だから、こんな仕事がしたいとか将来に対するしっかりとした展望が有ると思っていたのだ。
それが可愛い奥さんだなんて、なんだか夢見がちな女の子みたいだ。
激しく戸惑う私をライは笑う。
「そんなに驚く事ないだろ? 可愛い奥さんは男の夢だ」
「うそ! そんな事言ってるのはライくらいよ」
「そんな事ないけどな。エリカは違うのか? 前に言っていたような、誠実でそれなりにカッコいい男と幸せになりたいと思わないのか?」
「別に……そんな事、普段は考えないし」
レナードの裏切りを知る前は、結婚後の生活を思い描いた事が有ったけれど、今は結婚が身近ではない。
どちらかと言うと、考えないようにしていた。
でもライは私のそんな考え方を理解できないようで首をかしげる。
「エリカの幸福って、なんだ?」
ライが感心したように言う。
「ふふ、ありがとう」
なんて調子よく返事をしたけれど、だいたいが前世の記憶を元にやっているんだけどね。
「利用客が宣伝してくれているみたいで、紹介客も来るようになったな。当初の予定通りミント村に農業以外の雇用が生まれてだんだん豊かになって来ている。エリカのおかげだな」
「……なんだか褒めすぎじゃない? どうしたの? 何か有ったの?」
ライの様子がいつもと違うような気がする。
「いや、俺がここに来てもう半年が過ぎた。この村も大分変わったと思って」
「あ……そうだね、もうそんなになるんだね、あっと言う間だったな……」
初めて出会った時のライはボロボロで見るも無残な状態だったっけ。
今はみんなに頼られて、慕われている。ミント村リゾートの中心人物。
だけど…… 元々ライは期間限定でミント村に滞在していたんだ。
普段考えないようにしているけれど、ライは故郷に帰るだけの旅費が溜まったらこの村を出てしまう。
いつか別れの時がやって来るんだ。
そう改めて実感すると、急に不安が込み上げて来た。
いつもと違う様子なのは、そろそろここを出て行こうと思っているからだろうか。
「ライ……あの、もしかしたら……」
この村を出て行くの?
そう言おうとしたけれど、それ以上声がでなかった。
そうだと言われたらと思うと怖くなって、はっきりとした事が聴けない。
「どうしたんだ? 」
ライは不審そうな表情になる。
「あの、ライは将来の事とか考えているの?」
「え?」
今度は怪訝な顔。
「だから、将来どんな生活をしたいとか人生設計のような」
「いきなり話が飛ぶな……将来設計か、そうだな……」
ライは宙を睨み考え込み、それからふっと嬉しそうな顔をして答えた。
「どんな生活を送っているかは、今のところ想像出来ないな。けど、どんな暮らしをしたとしても、隣には可愛い奥さんが居たら最高だ」
「えっ? 奥さん?」
意外な答えに私は目を丸くする。
ライの事だから、こんな仕事がしたいとか将来に対するしっかりとした展望が有ると思っていたのだ。
それが可愛い奥さんだなんて、なんだか夢見がちな女の子みたいだ。
激しく戸惑う私をライは笑う。
「そんなに驚く事ないだろ? 可愛い奥さんは男の夢だ」
「うそ! そんな事言ってるのはライくらいよ」
「そんな事ないけどな。エリカは違うのか? 前に言っていたような、誠実でそれなりにカッコいい男と幸せになりたいと思わないのか?」
「別に……そんな事、普段は考えないし」
レナードの裏切りを知る前は、結婚後の生活を思い描いた事が有ったけれど、今は結婚が身近ではない。
どちらかと言うと、考えないようにしていた。
でもライは私のそんな考え方を理解できないようで首をかしげる。
「エリカの幸福って、なんだ?」