「エリカはどんな男が好みなんだよ？」
「え？ なんで？」

「人のを聞いたんだから、教えてくれたっていいだろ？」

「真面目に答えなかったじゃない」

「答えたって。ほら早くエリカも言えよ。それとも自分だけ秘密主義にするという卑怯な真似する気か？」

ずるをしたような言われ方は不本意だ。
私は眉をひそめながらも、何て答えようか考える。

「そうね……やっぱり誠実な人かな？ 」
「誠実な人？」
「そう、私を裏切らない人」

過去も今も、身近な人に裏切られた私にとって、そこは絶対に外せない条件。

もし、結婚することがあるとしたら、浮気なんてしない穏やかで信頼できる旦那様がいい。

「裏切らないのは当たり前だろ？」
「そうでもないけど。元婚約者の事話したでしょ？」

「聞いたけど、そんな事するのはエリカのもと婚約者くらいだ。男がみんな不誠実とは思うなよ？ エリカだけを大切にする男は絶対にいる」

「みんな不誠実とは思ってないけどね……」

でも、二連続でそんな男に当たっているだけに、私の場合油断できない。

「外見のほうはどうなんだ？」

「外見？……うーん、それなりにかっこ良ければ何でも」

「急に適当になったな」

呆れたような声が聞こえてくる。

だけど、本心なのだから仕方ない。

ある程度、素敵な外見ではいて欲しいけど、それよりも私は安心出来る相手がいいのだもの。

一緒にいてホッとして、リラックス出来るような。


私にそんな人と巡り会える日が来るのだろうか。

今のところ、気配はゼロ。