翌朝。

予定通り、温泉の調査に出発した。
昨日打ち合わせをした四人に加えて、念の為に護衛の二人も連れて行く。
コンラードも剣を使えるから、かなりの安心感があるメンバーだ。



特に問題なく進み、岩場の温泉に到着した ……
のだけれど、昨日までとは全く違う光景に、私は驚き歩みを止めて呟いた。

「……酷い」

昨日まで綺麗なお湯を湛えていた天然の湯船には、汚れた石が大量に投げ込まれていて、茶色く濁ってしまっていた。

これでは、すぐに入浴出来ない。


「ランカ村の者の仕業の可能性がありますね」

コンラードが冷静に言い、汚れてしまったお湯に手を入れる。それから視線を巡らせ冷静に分析を始めた。

「お嬢様のおっしゃる通り人が浸かるのに丁度良さそうな温度ですね。お湯はあにらから湧き出てきているのですか、ならば投げ込まれたものを取り除けば徐々に元に戻るでしょう。ただ……」

「何? どうかした?」

コンラードのイマイチと言いたげな表情が不安を誘う。

「難点として村から距離がありすぎですね。村の空き家を改装して宿屋にするのなら、温泉は近ければ近いほど良いでしょう」

私は最もな指摘に頷いた。

確かにお風呂あがりに長距離を歩くのはキツイもの。

「やっぱり、別の温泉を探すしかないか……」

そう呟けば、ライがギョッとした顔をした。