レナードとエミリーとの事は、不快に思いながらも、少しずつどうでもよくなっていた。

だけど、将来の身の振り方については、ミント村近辺をウロウロしながら悩んでいたのだ。

いつまでも何もしないでいるのはあまりに生産性が無いし、今は良かったとしても、クレッグ家の当主がレナードに代替わりしたら、ただで養ってもらう事は出来ない。

と言うか、あいつらの世話になるなんて絶対に嫌。

だから自分の力で生きていく方法を模索していたのだけれど、この国の貴族令嬢は基本的に仕事を持たない。
結婚前は父親に、結婚後は夫に養い守って貰うことが当たり前。または修道院に行く道もあるけれど、私としてはどちらも無し。

そんな訳で困っていたのだけれど、ついに目標が出来たのだ。
これが喜ばすにいられるだろうか。

このミント村の温泉宿が成功したら、少しずつ規模を大きくして行く。
そしていずれは一大リゾートのオーナーに!

楽観的過ぎるかもしれないけれど、私には温泉探索に使えそうな【水を感じる力】がある。
それから、リゾートホテル勤務だった前世の記憶も。

これって、凄いアドバンテージだ。

夢はどんどん広がって行く。
何もかもが上手くいくような気がして来ている。

「ライ、改めて明日からよろしくね!」

笑顔で言うと、ライは戸惑いながらも頷いた。