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私は【日本】という国で暮らしていた。
これと言って目立つところのない、普通の女性。
仕事を持ち、家族とも友達とも仲が良く、そして長く付き合っている恋人がいた。



華やかさはないけど幸せな日々。
けれど恋人とあと少しで結婚という時に事件は起きた。

信頼していた恋人が私の友人と浮気をしたのだ。
いや、浮気というより本気の恋だった。
私がふたりの関係を知った時、恋人は私を捨てて友人を選んだのだから。

ショックを受ける私にふたりは必死に謝って来た。

「悪かった。君を傷付けるつもりはなかったんだ」

そんな台詞を何度も吐きながら。

私は心の底から傷付いていたけれど、諦めるしか道はなかった。
だって、私が怒っても泣いても、恋人の気持ちは変わらない。

何を訴えても、もう元の幸せだった頃には戻れないと分かったから。

どん底まで傷付いた時、離れた心はどうしようもないと悟ったのだ。

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