「そうなの? ……じゃあ、伯爵?」
「違う」
「子爵……男爵?」
「違うって」
ライは苦笑いを浮かべながら、私の荷物を持つ。
「あいつらがまた来るかもしれない。ここから離れよう」
「あ、うん……」
釈然としないまま、ライと共に岩場を離れる。
だけど脳裏からは先ほどの光景が消えなかった。
あの雰囲気、絶対に只者ではないと思ったのに。それに初対面の時から気になっている筆舌にし難い美貌。
どう考えても一般人では無いと思う……あれ?そう言えば。
「ねえ、ライは【精霊の加護】を持っているの?」
平民には滅多に現れない精霊の加護。
ライは貴族では無いと言うけど、何らかの加護を持っているような気がした。
ライの答えは私の予想外のものだった。
「以前は有ったけど使えなくなった」
「えっ? うそでしょう⁈」
精霊の加護が無くなるなんて、初めて聞いた。
この力は強弱に個人差はあるものの、無限だと思っていたのだ。
驚く私に、ライは困ったような顔をして説明してくれた。
「以前、事故に遭ったとき、記憶の一部が無くなってしまったんだ。それ以来精霊の加護を使えない。恐らく力の使い方も忘れてしまったんだと思う」
「力の使い方を忘れた?」
「ああ、育ての親が言うには、風に関する力が有ったそうだが」
「違う」
「子爵……男爵?」
「違うって」
ライは苦笑いを浮かべながら、私の荷物を持つ。
「あいつらがまた来るかもしれない。ここから離れよう」
「あ、うん……」
釈然としないまま、ライと共に岩場を離れる。
だけど脳裏からは先ほどの光景が消えなかった。
あの雰囲気、絶対に只者ではないと思ったのに。それに初対面の時から気になっている筆舌にし難い美貌。
どう考えても一般人では無いと思う……あれ?そう言えば。
「ねえ、ライは【精霊の加護】を持っているの?」
平民には滅多に現れない精霊の加護。
ライは貴族では無いと言うけど、何らかの加護を持っているような気がした。
ライの答えは私の予想外のものだった。
「以前は有ったけど使えなくなった」
「えっ? うそでしょう⁈」
精霊の加護が無くなるなんて、初めて聞いた。
この力は強弱に個人差はあるものの、無限だと思っていたのだ。
驚く私に、ライは困ったような顔をして説明してくれた。
「以前、事故に遭ったとき、記憶の一部が無くなってしまったんだ。それ以来精霊の加護を使えない。恐らく力の使い方も忘れてしまったんだと思う」
「力の使い方を忘れた?」
「ああ、育ての親が言うには、風に関する力が有ったそうだが」