「そういう問題じゃなくて、エリカは貴族令嬢だろう? こんな所誰かに見られたらどうするんだ?だいたい……」

ライは、まるでコンラードやラナの様に延々と私にお説教を始める。

私は唖然として、その様子を眺めていた。

確かに私の行動は貴族家の娘としては目に余る。はっきり言えばあり得ないことだ。

だけど、平民観点で言えばそんな目くじら立てる程の事でもない。

ライは感覚が貴族よりな気がする。ふとそんな考えが頭をよぎった。

「ライは、故郷ではどんな身分だったの?」

そう問えば、ライは急に言葉に詰まった。

「……もしかして言えないような身の上?」

どこかの貴族の御落胤とかだったりして?

「いや……正式な身分はない」

歯切れの悪い返答。違和感を覚えた私は更に追求した。

「ご両親は? そもそもライの故郷ってどこなの?」

プライベートに踏み込み過ぎかとも思ったけれど、今のライは我がクレッグ家て働く身の上。少しは聞いてもいいんじゃないかと思った。一番は個人的な好奇心なのだけれど。

ライは相変わらず微妙な躊躇いを見せながら、返事をした。