「独学でだなんてすごいな。尊敬する」
「え? 尊敬だなんて大袈裟よ」

「大袈裟じゃない。知識が多いのはそれだけ努力した証だからな。俺は凄い事だと思う」

真面目な顔つきで言われたので、嬉しいのだけど気恥ずかしくなった。
私は褒められた経験が少ない。だからこんな時、上手く会話を続ける事が難しい。

舞い上がってる自分を誤魔化すように、つい口数が多くなる。

「水のことに詳しいのは、【精霊の加護】によるところも大きいの」

「エリカの力は水に関係するものなのか?」

「そう。【水を感じる力】よ。普段は役に立たない力だけど、温泉研究には向いてるかも……」

別に隠す程の能力でもないので、サラリと言ったのだけれど、思いがけずライが驚愕の表情になった。

どうしたのかと思っていると、ライは我に返り私に詰め寄って来た。

「エリカは水の鑑定士なのか⁈」

「……なに、それ?」

初めて聞く名詞だ。

「サウラン辺境伯領で聞いた事がある。この世界には水の鑑定士がいて、その人物は、水の恵みをもたらすと」

「そんな人がいるの?」