館を出るとライが話しかけて来た。

「お嬢様、今日はどこに行きますか?」

「昨日と同じ場所よ、二人のときは話し方普通でいいからね」

そう言うとライは若干遠慮を見せながらも、「分かった」と言った。

柔軟な対応が出来そうな人で良かった。

「それで、昨日の場所に何かあるのか?」

「有るわ。ライも入った温泉を調べに行くのよ」

「調べる?」

ライは怪訝そうな顔をする。
あの温泉の貴重さを分かっていないから無理ないか。

「ちょっと確認したい事があるの。ねえ、昨日温泉に入った後疲れが取れたと言っていたでしょう? ほかに身体に変化はあった?」

「変化?……ああ、なんかスッキリした気分になって良く眠れたな」

「それだけ? 例えば外見はどう? 昨日、鏡で自分の顔を見た?」

「見たけど当然いつもと同じ顔だった……どうしてそんな事を聞くんだ?」

「変わらないの?……どうしてかしら?」

私はラナが認めるくらい大きな変化が有ったのに、ライは外見的変化が無いなんて不思議だ。

お湯に浸かっていた時間は、ライの方が多いくらいだと言うのに。

私とライの違い……元々美形であるかどうか?
彼の場合、既に最高に美しいので良くなりようがないとか?