部屋にはラナが待っていてくれたのだけれど、私の姿を見た途端に、ぽかんと呆けたように口を開いた。

「お、お嬢様ですよね?」

突然、謎の発言をするラナ。

「当たり前じゃない、何言ってるの?」

そう言いながら部屋の奥に進み、姿見に映った自分の姿を認めた私は、ラナよりも大きく口を開いた。

「な、何これ! 私?」

思わず出た言葉に、ラナはすかさず食いついて来る。

「そうですよね? どう見ても朝と雰囲気が違いますよね! 声も言動も、よく見ると顔もお嬢様なのは確かなんですけど」

「え、ええ……違うわ、全然」

私は未だ信じられない気持ちでもう一度姿見を見た。

映るのは、しっとり艶やかな濡羽色の豊かな髪に、陶器のように滑らかそうなシミひとつない象牙色の肌の女性。
顔色が素晴らしく良いせいか、いつもはパッとしない平凡な緑の瞳がとても映えて見える。

顔の作りは変わらず私なんだけど……朝より軽く見積もって三増しで容姿が良くなっている。
いや、五割かも……じっと鏡を見ていると、ラナが興奮気味に質問して来た。