まずは荷物の置いてある岩場を中心に、円状に小さな木の実を配置する。
この木の実は割れると、パリンと大きな音がするから、誰かが来たら分かるという訳。

それが終わると着替えと大きな布を出した。
ふたつを岩場にきちんと並べる。


用意してある着替えは、水を良く吸収するもので、濡れた体で着ても直ぐに乾くものだ。
頭から被るデザインだから、いざという時直ぐに着ることが出来る。
大きな布は保険。

準備が整うと、私はおもむろに服を脱ぎ、たっぷりとお湯を湛える泉に足を入れた。

丁度良い暖かさ。ほっとした気持ちになりながら、腰を下ろして体を沈める。

グッと体を伸ばして空を仰げば、鮮やかな青が目に入る。

風が通り抜け、頰を撫でた。

「あー気持ちいい……」

足湯も良かったけど、やっぱり全身入ると、別格に気持ちいい。

ミント村に来て良かった。

幸せを噛み締めながらまったりしていると、少し熱くなって来たので岩場に向かい、持って来ていた水をゴクリと飲む。

温まった体にひんやりした水が染み渡る。
お酒でもあったらもっと最高だったのに。
そんな事を考えていると、【パリン!】と木のみの割れる音が聞こえて来た。