ミント村への道を、ライの馬に抱えられる様にして乗り進んでいく。

お互いの気持ちを素直にうちあけたからか、私達の間には今までにない、甘い空気が漂っていた。

「ねえ、ライ。私、明日からトレヴィアに行かないといけないの。せっかく会えたのに……」

しょんぼりとする私に、手綱を握るライが答える。

「知ってる。妹の結婚式だろ? 俺も一緒に行くかつもりだ」

「ええっ? でもそんなにフォーセルを離れて大丈夫なの?」

「ああ、その為にこの半年エリカに会わずに頑張ったからな。王都に行ってエリカの父上に結婚の許しを請うつもりだ」

「お父様は卒倒してしまうかもしれないわ。フォーセル次期大公からの申し込みなんて」

そう言葉にすると、ふと不安が込み上げて来た。

「ねえ、本当に私で大丈夫なの? 身分違いだしライの周りの人に反対されるんじゃない? もっと高貴な姫君の方が……」

「そんな言い方するな。俺はエリカがいいんだよ。他の女なんて考えたくもない。エリカじゃないと駄目なんだよ。俺の気持ちはまだ伝わってないのか?」

ライは少し怒って言う。

「ご、ごめんなさい、ライの気持ちを疑った訳じゃないけど、不安になって」

本当にライ自身の気持ちは凄く伝わって来ている。
立てなくなる程のキスをされたばかりだもの。

「ライ、ごめんね」

見上げて言えば、「もう余計な事考えるなよ」との言葉と共に、唇が降りて来る。

ライの腕の中、私は歓喜に震えながら、愛のこもったキスを受け入れた。