「エリカさん、少し離れていてくれないか? これからライが精霊の加護を使えるかどうかを確認する」

「え? あ、はい……」

一体何をするつもりなのだろう。
不安に思いながらふたりから距離を置く。

じりじりと後退して、ある程度すると立ち止まった。

すると遠目にもオリバー様がニコリと笑ったのが見えた。続いて彼の口がゆっくりと何かを言う。

……ごめんね?

そんな口の形だったように感じ、首を傾げたのと同時に、足元から突き上げるような衝撃が襲って来た。

「きゃあ!!」

逃げる間もなく足元の大地がひび割れ、ガラガラと崩れていく。

何が起こっているの?

確認する事も出来ないまま、私を支えていた大地は消え去り、体が宙に放り投げだされる。

青い空が視界に入り、そのまま真っ逆さまに落ちて行くのだろうと思った。

けれど、私の落下を何かが堰き止めた。

ハンモックに寝ているように、私の身体は空中で止まっている。

バクバクと煩く鳴る鼓動を感じながら恐る恐る辺りを伺うと、少し上にはガラガラと崩れ落ちる大地。それから青い空に太陽。下は怖くてのぞけない。

何が起きているのか分からないまま震えていると、崩れた大地からライが飛び降りてくるのが見えて、私は今度こそ悲鳴を上げた。