「カミル、お前こんな事してただで済むと思うなよ!」

あまりの迫力。私は怖くて仕方ない。

だけど、カミラさんは信じられない事に果敢に反論して来た。

「そこまで怒る事ないでしょ? ちょっとお風呂に入っただけじゃん」

「ちょっとだと? お前ふざけるなよ? エリカに何するつもりだったんだよ!」

カッとした様子のライに、カミラさんは口角を上げて笑って見せた。

「何って背中を洗いあったり、隣あって星空を眺めたり。ああ、マッサージをしあっても良かったかも」

カミラさんの笑み、なぜか黒い感じがする。それに口調もおかしなような……不審に感じているとライが再び叫んだ。


「お前、殺してやる!」

私は驚愕で目を見開いた。

な、何を言ってるの?

怖いなんて言っていられなくなり、私はライに訴えた。


「ライ落ち着いて。そんなに怒鳴ったらカミラさんが怯えてしまうわ。女性にそんな口を利いたらだめよ」

ライは息を飲むと、私を真剣な目で見つめて来た。


「エリカ……カミルは女じゃない。男だ」

「……は?」

ライったら何を言っているの?

ぱちぱちと瞬きする私に、ライは念を押すように言う。

「いいか? あいつは女じゃなくて男だ。だからラナにふたりで温泉に行ったと聞いて慌てて来たんだ」

ライの言葉が頭に浸透してくると私は恐る恐るカミラさんの方を向いた。

彼女は、苦笑いを浮かべながら立ち上がり、今まで聞いた事もないような声音で「ばれちゃった」と言う。

そして、胸元から太ももを覆っていたタオルを、なんら恥じらう様子もなく勢いよく取り去った。

そこにあったのは、ぺたんこの胸。そして更に下には見てはいけないものが……。

私は小さく悲鳴を上げると、そのまま意識を失った。

焦ったようなライの声を聴きながら。