ライはコンラードと、書類仕事をしているところだった。

最近は更にいろいろな仕事を任されているようだけれど、どの仕事もそつなくこなしているところが凄いと思う。

私はライに声をかけ、部屋の外へ呼び出した。


「何かあったのか?」

ライは直ぐに来てくれた。

「ええ、直ぐに海の間に行ってくれる? カミラさんが話があるそうよ」

その瞬間ライの眉間にしわが寄った。

前もそうだったけれど、過剰に彼女を避けている。


「行かない。俺は話なんてないし」

「え? それは駄目でしょう? 大事な話かもしれないし」

「知った事じゃない」

ライの反応は驚きだった。

こんな無責任な態度今まで初めてだったから。

どうしてこんなに嫌がるの? ふたりの間には過去何かが有ったのだろうか。

聞きたいけれど、それはあまりにプライベートな事だし、聞く勇気が持てなかった。

代わりに私は、複雑な想いを隠し笑顔を浮かべてライに言った。


「そんな事言わないでとにかく顔を出してあげて。彼女はお客様でもあるのだから」

ライは不服そうな溜息を吐く。

「……それに、ライとカミラさんは元々の知り合いなのでしょう? カミラさんからサウランで親しくしていたと聞いたわ。私、知らなかったからとても驚いた」

「え? いや、それは……」

ライは急に慌てた様子を見せる。やっぱりカミラさんとの事は秘密にしたかったようだ。

「大丈夫。他の人にペラペラしゃべったりはしないから。でもカミラさんとはきちんと話をして来た方がいいわ。もしかしたら喧嘩をしているのかもしれないけど、カミラさんとライは美男美女でお似合いよ。きっと仲直り出来るわ」

「は? 何言ってるんだよ?」

「じゃあ、お願いね。私はコンラードと話しがあるから」

そう言い、今までライがいた部屋の中にさっさと入り扉を閉めた。