色鮮やかな花々が咲き乱れる、甘い香りのする温室で、私の婚約者が情熱的に囁いた。

「君を愛している。必ず幸せにするよ」

キザな台詞だけれど、金髪碧眼の見目麗しい婚約者が言うと様になる。美しい背景と相まってまるで一枚の絵の様だ。

ただ、残念なのは愛を囁かれた相手が私ではないと言う事。

婚約者が熱い視線を送る先でうっとりと頬を染めているのは、妹のエミリーだった。


「私……浮気されているのかしら」

そう呟くと、私はまっすぐ二人の座るベンチに近づいて行く。

彼らはふたりの世界に浸っていてなかなか私に気付かない。

それどころか、今にも唇を重ねてしまいそうな、甘ったるい雰囲気を醸し出している。