そして、1日の学校を終えて下校の時間になった。

クラスメイトの視線の他にも見ず知らずな上級生たちにもどうやら噂は届いているらしく、わざわざ私の顔を見にくる人もいた。

すごくイヤだったけど、夜のことを考えたら、なんとか乗り切ることができた。


コンビニの前を通りすぎて、ふと奏介くんのことを思い出したけど、今日はいない。

ヒロの話では私のことを気にしてくれてたって聞いたし、メールや電話も返してないままだから、今日会ったら謝らなきゃ。


そんなことを考えながら、家へと歩いていると、ふと横断歩道を歩いている晴丘の制服が見えた。

晴丘男子校はこの近くだし、すでに何人かの生徒とすれ違ったけど、あんな金髪をした人はひとりしかいない。

「ヒロ――」と、思わず名前を呼びかけて、私の声はピタリと止まる。


ヒロの隣には、女の人がいた。

胸元ぐらいまである茶色い髪の毛は大人っぽいゆるふわ巻き。手足が長くてモデルみたいなスタイルは、背の高いヒロと並んで歩いていると、とても絵になる。


〝ミキ〟

以前、ヒロが電話で話していた人のことが頭に浮かんだ。


私はヒロと友達ってわけでもないし、親しいわけでもない。だからここでふたりの会話を邪魔してまで声をかけなきゃいけない用事もないし、なにより美男美女すぎてお似合いとしか言いようがない。


ヒロに彼女がいることは分かっていた。

私に恋愛経験なんてあるはずがないけど、あの整った顔を女子は放っておかないだろうし、うちのクラスメイトたち騒ぎ立てそうなほどのルックスをしてる。


だから、ヒロに彼女がいることは当たり前なのに……。

なんで私、ちょっとチクリとしたんだろうか。