それから午前の授業が終わっても、気温は落ち着かずに暑いままだった。そんな日に限って体育があって、しかもよりにもよって外でマラソン。
「今日は校舎の外周をしてもらう。一周は約2キロ。タイム計るからサボるなよ」
先生の言葉に女子たちは「えー!」と大ブーイング。いつもクラスメイトと共感できることはないんだけど、今は私も同じ気持ちだ。
こんな暑い日にマラソンとはなに考えてんの。
先生はタイムウォッチを片手にゴールで待っているだけだけど、走る身にもなってほしい。
それでも反論が通るわけもなくて私たちはスタートラインに立たされて、お構い無しにマラソンが始まってしまった。
特に遅くてもペナルティはないから「面倒だから歩こう」と、みんな最初から走る気はなし。
友達と一緒ならマラソンもお喋りの時間になるらしく「昨日彼氏がうちに泊まりにきてさ」と、いつもの恋愛話がはじまる。そんな楽しそうな話し声の横を私は無言で通りすぎた。