「ヒロがバイトで稼いだお金はほとんど仕送りしてるでしょ?それって自分のために使ってくれたお金を少しでも返そうと思ってるからじゃないの?」


見た目とは裏腹に、バイトだけは欠かさずに行っていたヒロ。なんでそんなに一生懸命働くのか私にはその理由が分からなかった。

でも今、やっとすべてのことが繋がった気がする。


「それに胸を張って生きれてないなんて、そんなこと絶対にないよ。ヒロは優しいもん。人の傷みが分かる人だもん。だから生かされた自分にも苦しんだんだよ」

傷みを分からない人は、この世界にはいっぱいいる。そんな中で、ヒロは私を掬い上げてくれた。


「私はヒロが生きててよかったよ。8歳で命が終わらなくて。ヒロに会えてよかったよ」


迷いながらでも、ヒロがここにいてくれること。

ご両親や美幸さんがヒロの手術を望んでくれたこと。

ヒロの命を繋いでくれた女の子の心臓や家族の決断。

その全部に、私は感謝しかない。


ヒロはその言葉を聞いて、そっと私の肩を抱き寄せた。ふわりと潮と混ざり合うヒロの匂い。

そして、耳元でヒロは小さく囁いた。