路地を何度か曲がり
遠くの大きな通りまでやって来たけど
そこには別の役人も沢山居た
もう
ダメかもしれない
背中を狙われながら走ってゆくと
サイレンの音が近くなる
限界がきた
身体がふらつき
視野が狭くなる。
ぐらりと世界は歪み
足元から血の気が引き
頭が真っ白になり
最後の希望をかけ
大きな開いている鉄の扉を目指し
私は小さな子供と階段を下がろうとしていたら
右の肩に衝撃が走った。
熱い弾が貫通する。
大きく心臓が跳ねた時
力強い手が地下から伸びる
その手首には黒いトカゲ
私は黒いトカゲを捕まえて
小さな子供と身を崩すと
細く長いサイレンがやんで
静寂が訪れた。