お店で会った時より成長している。

あの時はまだ
ふにゃふにゃとした身体だったけれど
今は自分の意志を持っている。

目に涙を浮かべてぐずる姿を見ていると、心の奥がぎゅーっと苦しくなってしまう。

「綺麗なお子さんですね」

やっぱり
ノブ君に似ている。

「でもね……あきた」

彼女の言葉に私は顔を上げた。

「大きくなっても、私にも主人にも顔は似てこない。それに男の子でしょう。私は絶対女の子だと思ってたのに」

彼女の背中から大きな闇が浮かび
黄昏がそれを飲み込む。

「つまらない。それに……もう、次の卵がお腹にあるの」

「次のお子様ですか?」

「ええ。次こそは女の子。私に似た女の子」
元気に彼女は私にそう言った。
怖い笑顔をそらすように
私はベビーカーに顔を戻し「妹ができるんですね。よかったね」そう言うと

「子供はひとりでいい」

つまらなそうに彼女は応える。