ーーー 利き手を負傷したから。 慣れない手で。 覚束ないリズムで。 でも確かに……。 私たちは約束を交わした。 「由さん、指はどう?痛くない?」 「うん。もう大丈夫。ほっらあああ! 動かすと痛いけど、動かさなければ痛くない」 「……帰る?」 いっちゃんは、なんとも読み取れない表情で問いかけてくる。