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図書館での勉強のお陰なのかは分からないが、いつもより良く出来たテストも無事終わり、その後に行われた球技大会も無事終了した。
バスケで活躍したかと言われたら当然していないし、雪下さんも俺が出ていたバスケは見に来ていなかったけれど、それでもサッカーは予想通り大和の活躍もあって優勝することが出来た。
そう言えば、今年のバレンタインも俺は理沙からの義理チョコ一つのみだったな。
大和も今年は一つしかもらっていないらしいが、それにはきちんとした理由がある。
彼女からのチョコしか受け取らないと事前に言っていたからだ。
チョコを渡したかったであろう女子達が直接大和の口から聞いたわけではないらしく、大和がそんな話をしていたのを誰かが聞き、その噂はあっという間に広がったというわけ。
以前の俺ならもらえるものはもらっておけばいいのにと思っていただろうが、今は好きな人からもらえればそれでじゅうぶんだという大和の気持ちがよく分かる。
絶対にもらえないと分かっているのに、二月十四日はやたらと隣の席を気にしてソワソワしていた自分が情けない。
案の定、チョコはもらえなかった。
あたり前だ。二月も下旬になったが、相変わらず俺は雪下さんに対して毎日一方通行の会話を続けていたけれど、なんの進展もない。
今日は雪下さんが欠席していたため、一日がとても長く感じられた。
冬の寒さもピーク続きだからか、風邪でも引いたのだろう。
授業が終わり駅に向かって歩いていると、冷たい風が容赦なく吹き付けてくる。
首に巻いた紺色のマフラーを鼻の辺りまで持ち上げて歩いた。