あれっ?

最後に、アドバイザーさんに一瞥を投げ、久人さんは背中を向けて行ってしまった。お店に戻ったんだろう。

あれ…。

アドバイザーさんが、軽い咳ばらいをした。それを聞いて、はっと我に返る。


「申し訳ありません、あの、お、夫が、失礼を…」

「いえいえ、旦那さん、誤解されたのでは? 早く行ったほうが」

「誤解…」


気を悪くしている様子もなく、アドバイザーさんは襟を直しながら、久人さんが消えた方角を指さした。


「愛されてますね」

「えっ」

「だって旦那さん、すごく傷ついた顔されていましたよ」


私はぼんやりと、指先が差す方向に顔を向けた。

やっぱり、そう見えましたよね。

久人さん、もしかしたら私、少しあなたの心がわかったかもしれません。


改めて、お聞きしたいです。

私、あなたのなんですか?