〈今日は結局、彼女に追いつけませんでした。で、先輩に相談があります。告白ってどうしたらいいんですか。俺、一度も告白ってしたことがなくて、先輩はアレですよね、告白のプロですよね?告白のコツとかあるなら教えて欲しいんですけど〉
森田にメッセージを送ると、すぐに返事が返ってくる。
〈なんや、告白?!ホンマにまだ彼女とちゃうかったんかいな。てっきりもう付き合ってるもんやと思ってたわ。まぁ、一緒に帰ってくれるような仲なら告白しても八割がたいけるやろから安心しとき。
てか、告白のプロってなんやねんそれ!告白にコツなんかあるんやったら俺が教えてもらいたいわ!〉
そうだった、と思い出す。
森田が姉貴に何度も告白しまくっているとはいっても、それがまだ一度も成功していないのだから、そんなのはプロとはいえない。
だけど俺が見習いたいのは面倒で精神的ダメージが大きい告白っていう作業に何度もめげずにチャレンジできるその度胸と図太さなのだけど。
〈すいません。そうでした。ちなみに先輩は、どうやって告白したんすか?ちょっと参考までに〉
〈どうやってって、そりゃあもう、全部試したわな。呼び出して口頭で伝えたり、手紙も書いたことあるし、サプライズもまぁ、失敗やったみたいやけどな。会うたびに好きやとは伝えてるけど、一度も返事もらったことないねんなぁ〉
なんだかすげえ、と思ってしまった。
あの風貌で手紙ってのもびっくりだし、会うたびに好きだと伝えてるってそれ、もうネタじゃん。やり過ぎて逆に本気かどうか疑われても仕方ないじゃんってレベルじゃね?
〈ありがとうございます。参考になりました。〉
〈卒業までに俺ももう一回、チャレンジする予定やからそのときは協力よろしく頼むで!がんばれ弟よ!〉
なんだろう。
弟と呼ばれることがだんだん嫌じゃなくなってきたのは気のせいだろうか。
そう思いながら、〈あざーす〉のスタンプを返しておいた。


