周囲の視線を気にしながら、七瀬さんと並んで校門を出る。
若干の優越感と、七瀬さんの思うがままになっていることへの不安でなんとなく落ち着かない。
短く折り上げたスカートは七瀬さんのために作られたように風に踊っている。
「いきなりごめんね」
と七瀬さんがいった。
「びっくりしたよね。ごめんね水嶋くん」
当たり前だ。中途半端に焦らされているみたいで、ちょっと苛立つ俺。
「何か理由があるんだろ?何?」
「……実はね、わたし、さいきん帰り道に後をつけられてるみたいなんだよね。知ってる人なんだけど、気付いたらだんだん気持ち悪くなっちゃって」
七瀬さんは両方の眉を八の字にさせて、困った顔をして見せた。
「水嶋くんが、途中まで同じ道を通るの知ってたから、だからお願いすることにしたの。本当にありがとう」
「…いいよ」
七瀬さんは可愛い。そして、自分が可愛いことを知っている。
自分がクラスのナンバーワンだということも。