帰宅後、すぐに自室のパソコンに向き合って、ナナからの長文コメントを読んでいた。

ナナの言葉ひとつひとつは相手を嫌な気持ちにさせないようにと気遣って書かれたものであるような気がする。そこにナナの性格が表れているような気がするし、この文からも、ミキに対して特別な気持ちを持ってくれていることがわかる。
その気持ちが、ナナが俺をミキという女性だと思っているからだとしても、このブログの文章を綴っているのもアクアリウムを作っているのも俺だから、ということを考えると、俺の言葉に対してナナが特別な気持ちを持ってくれているのだと解釈してもいいんじゃないか、なんてついつい都合よく考えてしまう。

携帯には七瀬さんからのメッセージが来ているけれど、俺はそれを確認することもせず、そのままナナの日記に飛んでいた。

最近ではほとんど毎日のルーティンみたいになった、ナナの日記を読むという行為。
公開されているブログの日記であるにもかかわらず、自分が悪いことをしているみたいな気分になってしまうのはきっと、ナナの日記が誰かに見られるということを意識して書かれたものではないから、なんだと思う。
それプラス、もしかしたらナナが壷井さんかもしれない、ということが頭のどこかにあって、そうだとすると、クラスメイトの日記を盗み読みしている自分がすごく最低な奴みたいに思えてしまうからなんだと思う。