そんなことを考えている間にも、七瀬さんから返ってくるメッセージ。

パソコンを見ながらスマホを触るのがちょっと面倒くさくなって、メッセージを確認するのはやめておいた。
既読にしなければ返事を急かされるようなこともないだろう。お風呂に入ってたとか適当なことを言っておけばいいんだし。

「ちょっと違う」って思ってるくせに七瀬さんを完全に無視できない俺はたぶん弱虫で、嫌われたくないだけの嫌な奴だ。

わかってはいるけど七瀬さんを無視するってことはクラス全員を無視するみたいなもんだから、やっぱりそれはちょっと出来そうにない。

俺の指先はマウスをクリックして『ナナ』のブログに飛んでいた。

七瀬さんからのメッセージは放置するくせに、顔も見たことがないナナの日記のほうが気になるなんて誰にも言えない。少なくとも中岡には、絶対に。


トップページに出てくる犬の写真。
茶色くて、丸っこくて、そしてやっぱり壷井さんの見せてくれた写真とそっくりな、『ハチ』。

今日の日付の日記が更新されている。

ちょっとどきどきしながら慣れた手つきで日記を開く。